お家づくりで「断熱性能」をどのくらいにすればいいのか?と悩まれている方が多いのではないでしょうか?
断熱性能を示す基準も複数あり代表的な基準は下記です。
✔一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会の「HEAT20」
✔国土交通省の「断熱等級」
断熱性能も頭打ちはあり、HEAT20であれば「G3」、断熱等級であれば「7」だと思います。
この記事では、高断熱(HEAT20 G3、断熱等級7)の暮らしや電気代をご紹介していきます。
家づくりの大切な要素の一つである断熱性能について、本記事を参考にしいただき後悔のない家づくりの参考にしていただければ幸いです。
<結論>
「近年類を見ない最強寒波」が到来し最低気温は-5.3℃を記録
屋内の快適さは揺らがず、平均室内温度は22.1℃
寒波の影響もあり窓枠(APW430)は結露発生
電気使用量は694kWh
電気料金は27,844円
高気密高断熱(C値0.13cm2/m2、UA値0.23w/m2k)の暮らし紹介
- 1月の屋外/屋内の温湿度状況
- 1月の光熱費(九電みらいエナジー:dポイントプランN)
2023年1月の屋外状況
屋外の温度・湿度は屋外に設置した温湿度計(SwithBot)から得たデータを使用しています。
データの取得方法については、下記の記事をご覧ください。
2023年1月の屋外温度@群馬県
群馬県の2023年1月の屋外気温を確認してみます。
平均気温と最高気温/最低気温をグラフ化しました。
グラフ下部の数字は一日の温度差の値です。
- 平均気温:3.9℃
(12月の6.1℃から-2.1℃) - 最高気温:11.5℃
(12月の15.7℃から-4.2℃) - 最低気温:-5.3℃
(12月の-1.5℃から-3.8℃)
1月25日〜26日は「近年類を見ない最強寒波」とニュースになっていました。
我が家の屋外温度計も-5.3℃を記録しました。
これは、窓の結露や電気使用量に影響が表れています。
後述してまいります。
住環境の記録:2023年1月1日〜1月31日
お家の基本スペック
- 面積:106m2(32坪)
- 階数:平屋(勾配天井、ロフトあり)
- 断熱性能(UA値):0.23w/m2k(HEAT20・G3、断熱等級7)
- 気密性能(C値):0.13cm2/m2
- 工法/構想:木造軸組工法
- 換気システム:第1種全熱交換型
- 太陽光発電:なし
- 蓄電池:なし
また、断熱性能、気密性能に関する「おさらい」はこちらの記事を参考にしてください。
温度比較
- リビング(南側一等地)
- ロフト(高所注意!)
- 寝室(北側角部屋)
- 脱衣室(西側)
- 子供部屋(東側)
- 床下(基礎断熱=屋内扱い)
各部屋の平均温度と屋外平均温度を折れ線グラフで表示しています。
また、日照時間を棒グラフで表示しています。
ざっくりですが全体感は分かるかな?と思います。
- 全域で暖房(クール暖)を使用
- 暖房(クール暖)は日射取得できる日は基本的に停止
- 屋内平均温度:22.1℃(床下除く)
- 屋内MAX温度:24.6℃@ロフト
- 屋内MIN温度:20.1℃@寝室
計測場所 | 平均温度[℃] |
---|---|
リビング | 22.6 |
ロフト | 23.2 |
寝室 | 21.2 |
脱衣室 | 21.8 |
子供部屋 | 21.6 |
(床下) | (20.2) |
断熱性能のお陰で日射取得できる日中は暖房を停止しています。
温かい空気は上昇するため、ロフトの温度は高めとなっています。
続けて一日の屋内温度差(床下は除く)を見ていきます。
日ごとの平均温度差をグラフ化します。
- 各計測点の平均温度の差は、最大で2.8℃(1月27日)
高所の「ロフト(温度高い)」と東側角部屋の「子供(温度低い)」の差 - 基本的には目標温度域(夏季:25℃〜28℃、冬期:22℃〜24℃)ですが、平均温度・最低温度が22℃を下回る日が多いですね。
日射取得できるリビング vs その他の部屋で平均温度を引き下げていると思われます。
「近年類を見ない最強寒波」に対して暖房(クール暖)の設定温度が低かったかもしれませんね。
湿度比較
相対湿度[%]
馴染みのある相対湿度[%]で屋外と屋内を比較してみます。
屋内の湿度は各部屋(床下を除く5ヶ所)の平均値です。
1月は本格的な乾燥の季節になります。
群馬県ではトータル9日間「乾燥注意報」が発令されました。
屋外の相対湿度は平均55.7%で高く見えますが…
相対湿度では乾燥感が分かりにくいので後述する絶対湿度で見ていきましょう。
屋内は目標相対湿度のアッパー領域を維持しています。
数日は60%超えの日もありますね。
小さい加湿器ですがお家の性能と相まって安定した湿度を得られています。
屋内相対湿度は平均57.9%(床下除く)
絶対湿度[g/kg]
乾燥の様子が分かるように、絶対湿度で比較してみましょう。
絶対湿度は計算で求めています。
絶対湿度で見ると全域で低湿度であることがわかります。
「乾燥注意報」が発令されていない日でも低湿度の日が多くありますので、状況に応じた加湿が必要ですね。
当然ですが目標ラインのはるか下を推移しています。
屋外の絶対湿度は平均2.8g/kgです。
一方で屋内は目標絶対湿度内をキープしています。
冬の乾燥する時期に10g/kg前後を維持できていれば十分といえると思います。
気化式の加湿器一台でここまでの湿度を維持することができるお家の性能に感謝です。
屋内絶対湿度は平均9.6g/kg(床下除く)
クール暖(&エコヌクール):水温設定
クール暖(エコヌクール)の水温設定と各温度および日照時間をグラフにしました。
また、クール暖は日中停止で使用しています。
冬のクール暖(エコヌクール)の水温設定は基本的に日中停止で使用しています。
九電みらいエナジーのNプランでは23時〜7時の間が夜間料金のため、クール暖は7時で停止しています。
丁度朝日も出始めるので暖房から日射取得へ切り替えるイメージですね。
クール暖は日射取得できる日中は停止し、日が落ち始める16時から使用するサイクルです。
日中は日射取得のみで十分快適に過ごすことができています。
水温設定についてですが、1月前半は「自動1」を使用していましたが、やや室温が低いかな?と感じたため、中盤以降は45℃〜50℃での使用に切り替えました。
振り返ってみると、自動の方が室温が安定しているように見えますね。
クール暖を使いこなすにはまだまだ勉強の余地がありそうです!
住環境のトピックス
「近年類を見ない最強寒波」とニュースで取り上げられる程の寒波が到来しました。
到来のピークは2023年1月25日、26日です。
とは言え、我が家は大きな問題なく快適に過ごすことができました。
でも、屋外の気温が下がるとどうしても弱点である部分が見えてきてしまいます。
それが窓です。
屋内の湿度を維持しているとやはり窓が結露してしまいます。
かと言って屋外が乾燥するのは健康的にも良くないので、ある程度の結露は目をつぶっています。
しかし、1月26日は流石にそこそこの結露が発生しました。
その様子を確認してみましょう!
屋外/寝室の温度推移と露点温度の関係
最強寒波到来日の一日の温度/湿度グラフです。
6時、7時の冷え込みが凄いですね。
このときの寝室の温度は珍しく20℃を下回ってしまいました。
最強寒波に暖房(クール暖)の水温設定を上げずに望んだのは流石に舐めていたかもしれません。
このときの露点温度は11℃になります。
湿り空気線図で露点温度を確認
露点温度について詳しくみてみましょう。
下記は「湿り空気線図」です。
室温と湿度の関係から「露点温度」を確認することができます。
寝室の室温が19.3℃、湿度が59%でしたので、グラフを上記図のように読み取ると、露点温度が11℃であることがわかります。
つまり、寝室の空気が11℃以下の物に触れると結露するということです。
結露の様子:寝室の窓
結露の様子です。
窓の仕様はYKK APのAPW430です。
ガラス面、フレーム共に結露が発生しています。
普段からガラス面は結露することがありますが、フレームも結露するのは珍しいです。
光熱費紹介
光熱費に関わる基本情報のご紹介です。
断熱性能はHEAT20 G3(断熱等級7)です。
- 面積:106m2(32坪)
- 階数:平屋(勾配天井、ロフトあり)
- 断熱性能(UA値):0.23w/m2k
- 気密性能(C値):0.13cm2/m2
- 工法/構想:木造軸組工法
- 換気システム:第1種全熱交換型
- 太陽光発電:なし
- 蓄電池:なし
オール電化です。
- 冷暖房設備
協立エアテック:クール暖(輻射式冷暖房) - 換気設備
マーベックス:澄家(全熱交換型第一種換気) - 給湯設備
三菱:エコキュート(Sシリーズ460L) - 調理器具(IH)
三菱:ユーロスタイルIH(グリルなし) - 食洗機
BOSCH:60cmビルトイン食洗機(SMV46TX016) - 洗濯機
SHARP:ドラム式洗濯乾燥機(ES-W113) - 除湿機(梅雨、夏時期のみ使用)
三菱:衣類乾燥除湿機(MJ-M120PX)
エレクトロラックス:除湿機(UltimateHome 500)
2022年9月6日に第一子が誕生しました。
生活スタイルは2022年9月から大きく変わりました。
- 居住者:夫婦+子供1
- お休み:
基本的には土日祝日休み→ 毎日在宅(出産+育児期間) - 屋内の服装
夏:半袖半ズボン
冬:長袖長ズボン(薄手) - 室温目標
夏:25℃〜28℃
冬:22℃〜24℃ - 湿度目標
相対湿度:40%〜60%
絶対湿度:7g/kg〜13g/kg - 食洗機:1日に1回が基本
- 洗濯:
2日に1回が基本→ 1日に1回が基本
夏:洗濯機の乾燥機能を使用
冬:部屋干し・・・節電+加湿→ 洗濯機の乾燥機使用
※子育て中の今、乾燥機能は手放せず、冬でも使います - お風呂:
基本的にはシャワー
(快適な家になってからお風呂を欲しなくなった)
→基本的に毎日使用(1月25日より子供が沐浴を卒業)
電力使用予測(エネルギーパス協会の事前予測)
消費量予測 | 光熱費予測 | 電力単価 (1kWhあたり) |
---|---|---|
584kWh | 23,368円 | 40.0円 |
建設時(2021年)は電力単価:29.1円/kWhでしたが、2022年の年末実績では電力単価:40円/kWhとなりました。
そのため光熱費の予測計算は40円/kWhで再計算しています。
✔29.1円/kWhの年間光熱費予測:175,500円
✔40.0円/kWhの年間光熱費予測:241,237円
年間で65,737円の差が生じることになります。
電力使用量
2023年1月(2022/12/22〜2023/1/21)の使用量と光熱費は下記となりました。
電力会社:九電みらいエナジー(dポイントプランN)
電気料金の値上げの様子がよく分かる結果となりました。
- 電気使用量は予測に対して19%オーバー
- 昨年の使用量に対しては8%減少
- 電気使用量は8%減少だが、請求額は32%増加
- 請求額は何とか2万円代で留まる
- 電気単価が28.1円/kWhから40.1円/kWhと43%増加したことが要因
内訳
項目 | 単価 [円] (前月比) | 使用量 [kWh] (前月比) | 金額 [円] (前月比) |
---|---|---|---|
基本料金(6kVA) | − | − | 1,711.14 (100%) |
電力量料金(昼間) | 25.26 (100%) | 305.0(※) (137%) | 7,705.23 (137%) |
電力量料金(夜間) | 17.72 (100%) | 396.1(※) (136%) | 7,019.15 (136%) |
燃料費調整額 | 11.92→12.99 (109%) | 694 (136%) | 9,015.06 (149%) |
再生可能エネルギー発電進捗賦課金 | 3.45 (100%) | 694 (136%) | 2,394.30 (136%) |
※電力量料金(昼間/夜間)の使用量は電力会社からの通知がないため、それぞれの金額からの計算で求めています。
年間累計
エネパス予測および、昨年(2022年)・今年(2023年)の実績使用量・光熱費の累計グラフです。
出だしからオーバースタートになりました。
我が家は6月からエネパス予測を下回る傾向があるようなので、中盤から挽回していきます!
燃料費等調整額・再エネ賦課金の推移
燃料費調整額は昨年末の11.92円/kWhに対して更に値上がりし、12.99円/kWhになっています。
2月からは、国による電気料金軽減措置(低圧:▲7円/kWh)が織り込まれるので一時的には下がる見通しです。
電気使用量の分析
電気使用量のは屋外気温との関係が密接と考えています。
その他因子も含めて分析してみます。
電気使用量と因子の相関分析
相関分析を用いて電気使用量との関係性を分析してみます。
電気使用量に関係する因子(5つ)について相関係数を算出します。
- 屋外平均気温
- 屋外最高気温
- 屋外最低気温
- 日照時間
- 屋内平均温度
相関係数 | 相関の強さ |
---|---|
1.0〜0.7 | 強い正の相関 |
0.7〜0.5 | 正の相関 |
0.5〜-0.5 | 相関なし |
-0.5〜-0.7 | 負の相関 |
-0.7〜-1.0 | 強い負の相関 |
家電の使い方なども因子ではありますが、ひとまず温度がポイントであることは明確です。
中でも屋外平均気温がポイントのようです。
- 屋外平均気温は相関係数-0.81で強い負の相関関係
- 屋外最低気温は相関係数-0.62で負の相関関係
- その他は相関なし
2023年1月の電気使用量
相関分析を用いるまでもなく平均気温が下がるにつれて電気使用量が増えている様子がわかります。
1月後半は「近年類を見ない最強寒波」の影響もあり使用量が増加していまいました。
- 電気使用量の平均は“24kWh”
- 電気使用量“最小値”は1月10日(19.5kWh)
- 電気使用量“最大値”は1月26日(31.2kWh)
2023年1月の電気料金
単価、燃料調整費、再エネ賦課金の積み上げグラフにしていますが、やはり燃料調整費(ピンク)の部分が気になります。夜間/昼間関係なく使用量に掛け算なので、とても影響力があります。
- 電気料金の平均は“900円”
- 電気使用量“最小値”は1月10日(715円)
- 電気使用量“最大値”は1月26日(1,165円)
- 電気料金が一日1,000円を超える日は“8日間”
電気使用量の“最小”/“最大”を比較
差の大きかった1月10日と26日を比較してみます。
26日は最強寒波の影響で最低気温は-5.3℃まで下がりました。
<屋外温度と消費電力の関係について考察>
夜間の電気を使用するのは、エコキュート、暖房(クール暖)、食洗機です。
■エコキュート…ヒートポンプ式
- 気温が低いことでヒートポンプによるエネルギー消費効率(COP)が落ちる
(屋外の熱を回収しているため、気温が低いと温めるのが大変) - 「気温が低い=水温が低い」冷たい水を温めるのはエネルギーを消費する
- 気温が低く熱交換器に霜が付き除霜(霜取り)運転になる
■暖房(クール暖)…ヒートポンプ式
- 気温が低いことでヒートポンプによるエネルギー消費効率(COP)が落ちる
(屋外の熱を回収しているため、気温が低いと温めるのが大変) - 気温が低く熱交換器に霜が付き除霜(霜取り)運転になる
■食洗機
- 温水で洗浄するため給水される水温(水道)が低いと多くの電気を消費する
※1月10日食洗機を未使用のため、今回の差分要因ではありません
まとめ
2023年1月は屋外平均気温が3.9℃とさむ~い1ヶ月になりました。特に「近年類を見ない最強寒波」も到来し我が家の温度計も-5.3℃を記録しました。
屋内は全日で暖房(クール暖)を使用しましたが、日射取得できる日中は停止する運用でオーバーヒートとのバランス調整を行いました。外は寒いのにこの暖かさは本当にありがたいです。
- 平均温度:22.1℃(冬季目標:22℃〜24℃)(夏季目標:25℃〜28℃)
- 平均相対湿度:57.9%(目標:40%〜60%)
- 平均絶対湿度:9.6g/kg(目標:7g/kg〜13g/kg)
1月の平均屋内温度は22.1℃と目標の22℃〜24℃の下限温度となりました。
日当たりの良いリビングを基準にして暖房を日中OFFとしているため、家全体ではやや温度低下があったためと考えています。
リビング以外がわずかに涼しいですが、代謝の良い赤ちゃんや抱っこという運動をする大人にとって丁度良い温度に感じます。
屋内の平均相対湿度は57.9%でとても快適で、のど風邪、鼻詰まりが起きやすい季節ですが、体調を崩すことなく元気に過ごせました。
- 予測電力使用量:584kWh
- 予測電気料金:23,368円
- 実際の電力使用量:694kWh(予測比119%)
- 実際の電気料金:27,844円(予測比119%)
※2022年9月から家族が増えました!在宅時間は大幅に増加!洗濯等の回数も増加しています。
※2022年11月から電気会社を見直しました!(Looopでんき → 九電みらいエナジー)
※2023年1月から子供が沐浴を卒業し、シャワー中心からお風呂中心へシフト
使用量はエネルギーパス協会の予測をやや上回りました。
子育てによる在宅率増加や家電の影響もありますが、平均気温の低さとの相関関係が強いです。
節電・光熱費を抑えるポイントとしては下記です。
- エコキュートのわき上げ設定
✔夜間電力(23時〜7時)の間でわき上げる
✔わき上げモード:おまかせ
✔節電モード:レベル2 - 食洗機の使用時間
✔夜間電力(23時〜7時)に使用する
高気密高断熱の暮らしが少しでも伝わればと思っていますが如何だったでしょうか?
電気代の高騰が続いています。
少しでもエコ(高断熱)なお家に住んだ方が光熱費が抑えられると思います。
当然、断熱性能を高めるためには初期投資が掛かってしまいます。しかし、入れてしまえばメンテナンスフリーなのが断熱材です(正しく施工されれば)。また、お家の寿命を延ばすことにも繋がります。
何も残らない電気にお金を使い続けるか?初期投資は掛かるけど少ない電気で快適に過ごせる断熱にお金を使うか?
その判断に役立つ情報になっていれば幸いです。