お家づくりで「断熱性能」をどのくらいにすればいいのか?と悩まれている方が多いのではないでしょうか?
断熱性能を示す基準も複数あり代表的な基準は下記です。
・国土交通省の「断熱等級」
・一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会の「HEAT20」
断熱性能も頭打ちはあり、断熱等級であれば「7」、HEAT20であれば「G3」だと思います。
この記事では、HEAT20 G3(断熱等級7)の暮らしをご紹介していきます。
家づくりの大切な要素の一つである断熱性能について、本記事を参考にしいただき後悔のない家づくりの参考にしていただければ幸いです。
2022年7月の屋外状況
屋外の温度・湿度は屋外に設置した温湿度計(SwithBot)から得たデータを使用しています。
データの取得方法については、下記の記事をご覧ください。
2022年7月の屋外温度@群馬県
群馬県の2022年7月の屋外気温を確認してみます。
平均気温と最高気温/最低気温をグラフ化しました。
グラフ下部の数字は一日の温度差の値です。
関東は6月27日頃に梅雨明けし連続猛暑日でした。
7月に入ってからも猛暑日が続きましたが、中旬は梅雨に戻ったの?と思うぐらい曇りや雨の日が続きました。
そんな中旬を除き、暑い日が続いていますが、意外にも猛暑日は4日と6月の5日よりも1日少ないです。
- 平均気温:28.5℃
(6月の23.7℃から+4.8℃) - 最高気温:38.4℃
(6月の34.4℃から±0℃) - 最低気温:22.1℃
(6月の15.2℃から+6.9℃) - 氷点下日数:0日
(6月も0日でした) - 夏日(25℃以上):30日
(6月の21日から+9日) - 真夏日(30℃以上):24日
(6月の10日から+14日) - 猛暑日(35℃以上):4日
(6月の5日からー1日)
2022年7月の屋外湿度@群馬県
湿度に関しては、相対湿度[%]と絶対湿度[g/kg]で確認していきます。
相対湿度[%]
下記のグラグは日毎の平均相対湿度[%]を示しています。
ほぼ全域で60%を超えています。
中旬は梅雨のような天気が続いたため、一日の平均が90%を超える日もあります。
7月15日の気温は23℃前後なので体感的には涼しく感じるかもしれませんが、窓開け換気等で屋内に取り込むとカビ・ダニの増加に繋がるので要注意です!
絶対湿度[g/kg]…計算により算出
下記のグラフは日毎の平均絶対湿度[g/kg]を示しています。
絶対湿度は計算で求めた値になります。
屋内の目標絶対湿度の上限は13g/kgです。
全域で大幅に超えています。
7月26日(天気:雨時々止む)にいたっては20g/kgを超えています。
対策しないと、たまったものではありません!
我が家の湿度に対する考え方は下記の記事にまとめています。
ダニ・カビ・チャタテムシの増加を防止するために湿度コントロールは重視しています。
住環境の記録:2022年7月1日〜7月31日
7月は全域で冷房(クール暖)を使用しました。
また併用で除湿機も使用しました。
除湿機の登場タイミングは、気温がそこまで高くない日に使用しています。
(除湿するためには設定温度を下げる必要がありますが、それでは室温が下がり過ぎてしまう日がある…)
エアコンの再熱除湿に近い使い方ですね。
詳しく比較する前にお家の基本スペックについてです。
- 面積:106m2(32坪)
- 階数:平屋(勾配天井、ロフトあり)
- 断熱性能(UA値):0.23w/m2k(HEAT20・G3、断熱等級7)
- 気密性能(C値):0.13cm2/m2
- 工法/構想:木造軸組工法
また、断熱性能、気密性能に関するおさらいはこちらの記事を参考にしてください。
温度比較
お家の温度計測場所は、
✔リビング(南側一等地)
✔ロフト(高所注意!)
✔寝室(北側角部屋)
✔脱衣室(西側)
✔床下(基礎断熱=屋内扱い)
の5ヶ所で行っています。
各部屋の平均温度と屋外平均温度を折れ線グラフで表示しています。
また、日照時間を棒グラフで表示しています。
- 7月は通して冷房(クール暖)を使用しました。
- 1ヶ月を通しての最大温度差は3.5℃(床下除く)
・MAX:28.0℃@ロフト
・MIN:24.5℃@リビング - 7月12日〜7月16日は天気が悪く日照時間はほぼ無し。
続けて一日の屋内温度差(床下は除く)を見ていきます。
日ごとの平均温度差をグラフ化します。
- 温度差は最大で1.7℃
主に高所のロフトとリビングの差 - 冷房(クール暖)は水温設定による関節的な室温コントロールのため、日照時間などの影響によって波ができてしまう。
湿度比較
相対湿度と絶対湿度について比較していきます。
相対湿度[%]
馴染みのある相対湿度[%]で屋外と屋内を比較してみます。
屋内の湿度は各部屋(床下を除く4ヶ所)の平均値です。
7月に入り高湿度状態が続いています。
気温が高く、冷房(クール暖)の水温設定が低い場合は、放熱パネルに結露が発生し、ある程度は除湿してくれます。
しかし、気温が低く、水温設定が高いと結露は発生せず除湿されません。
我が家の場合は、リビングに除湿機を設置し、お家全体の湿度上昇を抑えております。
除湿機はエレクトロラックス:UltimateHome 500を使用していますが、設定湿度を55%にしておくと、55〜60%の間で安定してくれます。
除湿機自体が間欠運転をしてくれますので、節電にも繋がります。
結果的に屋内は目安相対湿度である40%〜60%を概ね維持し、平均57.7%でした。
除湿機に関する詳しい記事は下記をご覧ください。
クール暖(&エコヌクール):水温設定
2022年7月はクール暖(冷暖房)を連続運転しています。
屋外の温度や日照時間によって微調整を行いました。
グラフ化して屋外と屋内の温度変化をみてみます。
屋内の温度は屋外温度・日照時間による影響を受けています。
体感としても日が出ている日の窓際は熱を感じます。
それは庇によって日射遮蔽されていても感じるので、照り返しやふく射の影響でしょう。
下記は屋外平均温度とクール暖の水温設定の関係です。
(2021年に作成しましたが改めて記載)
クール暖の夏の温度設定のポイント
- 屋外平均温度22℃以下:水温設定20〜25℃
- 屋外平均温度25℃以上:水温設定14〜15℃
- 屋外平均温度30℃以上:水温設定11℃(夜は冷えすぎてしまうので控えめ運転推奨)
光熱費紹介
7月は冷房を連続稼働させたため電気代が気になるところですね。
また、7月1日からはLooopでんきの「ピークタイム(※)」が適用されるので、ぐっと電気代が上がります。
我が家の電力量検針日は21日〆のため、電気料金がわかりにくくなっていますがご了承ください。
※:日中の電気料金が割高になる
条件
お家の基本スペック・・・断熱性能はHEAT20 G3(断熱等級7)
- 面積:106m2(32坪)
- 階数:平屋(勾配天井、ロフトあり)
- 断熱性能(UA値):0.23w/m2k
- 気密性能(C値):0.13cm2/m2
- 工法/構想:木造軸組工法
- ソーラー発電:なし
- 蓄電池:なし
主な設備仕様(電気を多く消費してそうなモノたち)・・・オール電化
- 冷暖房設備
協立エアテック:クール暖(輻射式冷暖房) - 換気設備
マーベックス:澄家(全熱交換型第一種換気) - 給湯設備
三菱:エコキュート(Sシリーズ460L) - 調理器具(IH)
三菱:ユーロスタイルIH(グリルなし) - 食洗機
BOSCH:60cmビルトイン食洗機(SMV46TX016) - 洗濯機
SHARP:ドラム式洗濯乾燥機(ES-W113) - 除湿機(梅雨、夏時期のみ使用)
三菱:衣類乾燥除湿機(MJ-M120PX)
エレクトロラックス:除湿機(UltimateHome 500)
生活スタイル
- 居住者:夫婦
- お休み:基本的には土日祝日休み
- 屋内の服装
夏:半袖半ズボン
冬:長袖長ズボン(薄手) - 室温
夏:25℃〜28℃
冬:22℃〜24℃ - 湿度
相対湿度:40%〜60%
絶対湿度:7g/kg〜13g/kg - 食洗機:1日に1回が基本
- 洗濯:2日に1回が基本
夏:洗濯機の乾燥機能を使用
冬:部屋干し・・・節電+加湿 - お風呂:基本的にはシャワー
(快適な家になってからお風呂を欲しなくなった)
電力使用予測(エネルギーパス協会の事前予測)
消費量予測 | 光熱費予測 | 電力単価 (1kWhあたり) |
---|---|---|
619kWh | 18,000円 | 29.1円 |
電力使用量
2022年7月(2022/6/22〜2022/7/21)の使用量は…
(電力会社:Looopでんき…スマートタイムプラン)
使用量 (予測との比) 【先月比】 | 請求金額 (予測との比) 【先月比】 | 1kWhあたり (予測との比) 【先月比】 |
---|---|---|
526kWh (85%) 【185%】 | 17,544円 (98%) 【218%】 | 33.4円 (115%) 【118%】 |
内訳
項目 | 単価 [円] (前月比) | 使用量 [kWh] (前月比) | 金額 [円] (前月比) |
---|---|---|---|
スマートタイム (3月〜6月) | 17.50 (−) | 48 (46%) | 840.00 (46%) |
ピークタイム (7月〜9月、12月〜2月) | 37.50 (−) | 83 (−) | 3,112.50 (−) |
リビングタイム | 27.50 (−) | 214 (208%) | 5,885.00 (208%) |
ナイトタイム | 20.50 (−) | 181 (235%) | 3,710.50 (235%) |
燃料費等調整額 | 4.15 (140%) | 526 (185%) | 2,182.90 (259%) |
再生可能エネルギー発電進捗賦課金 | 3.45 (100%) | 526 (185%) | 1,814.70 (185%) |
光熱費予測を下回りました。
予測:619kWhに対して、実際:526kWhで-93kWh(85%)です。
6月ほどではないけど、節約できたわね!
冷房を使わない月(6月)から使う月(7月)で電力使用量は185%も増加しました。
加えて、ピークタイムの影響で、請求金額としては218%と大幅増額です。
これが、夏の力ですね…
使用量の考察
7月は冷房(クール暖)の水温設定を見直したり、ひかえめ運転を活用したり、工夫してみました。
使用電力と屋外温度・日照時間の関係をグラフ化してみました。
平均電力使用量に対して振れが少ないです。
振れが大きい日を見ると、温度・日照時間ともに少ないほうが下振れしていそうです(多少ですが…)。
冬ほど節電努力の効果は少なそうですね。
日別にもう少し詳しくみてみます。
下記は7月11日と15日の比較です。
両日ともにクール暖の設定は同じです。
11日と15日の大きな違いは屋外温度です。
11日は月の平均を上回り、15日は下回りました。
気温が低い15日の方が全体的に使用電力量が少ないですね。
日のトータルでは
・11日:17.6kWh
・15日:15.8kWh
で1.8kWhの差です。
今月の電力単価(調整、再エネ込み)で計算すると、
1.8kWh×33.6円=60.1円の差です
次に7月29日と31日の比較です。
29日のみクール暖の設定を「ひかえめ」としました。
29日と31日は屋外温度にそこまで大きな差はありませんでした。
クール暖の設定を「ひかえめ」にして電力使用量が減少したかをみてみると、そこまで差がありませんね。
日のトータルでは
・29日:19.4kWh
・31日:18.4kWh
で1.0kWhの差です(ひかえめに日の方が多い…)。
ひかえめの時間帯に限定して比較しても
・29日:9.9kWh
・31日:10.3kWh
で0.4kWhの差です。
日中も含むので生活スタイルの差が影響しているかもしれませんが、積極的に「ひかえめ」にするほど節電効果は無いようです。
夏の電力使用量は冷房(クール暖)を「使う」か「使わない」かによって大きく差が出る。
暑いので使わないわけには行かない!
冷房(クール暖)を使用した場合は、温度・日射の影響で電力使用量が変動する。
一方で、「ひかえめ」(水温を+3℃)設定は節電効果はあまり期待できない。
年間累計
エネパス予測と実績使用量の累計グラフです。
6月に引き続き節電できたので、年間累積は予測を下回りました。
このまま行けばいいですが、8月の電気代は心配です。
調整額の推移
気になる電力調達額の推移です。
依然として燃料費等調整額がジワジワ上がっています。
ここまでは、序章でした。
Looopでんきでは、燃料費調整単価の算定方法の変更が予定されています(2022年9月1日〜)。
変更内容は、「石油、石炭、天然ガスなど化石燃料価格に連動したものではなく、日本卸電力取引所(JEPX)に連動した燃料費調整単価に変更」されます。
何が序章で、今後どうなっちゃうのか全然わからない…
ですよね。。。
下記はLooopでんきが発表している改定後のイメージです。
ん〜さっぱりわからないのですが…
分かりやすくするためにグラフにしてみましょう。
すごい急激に上昇するね。
10月以降はまだ記載がないけど、世界情勢の影響なので大きく下がることは期待できないね。
すごい急激に上がってる!
燃料費調整額がこんなに上がるとどんな影響があるの?
使用した電力(1kWh)に対して、掛け算で計算されるよ。
例えば9月の我が家の予測電力使用量は584kWhです。
・改定前:584KWh×6.50円=3,796円
・改定後:584KWh×13.49円=7,878円
差額は、+4082円(208%)となります。
えーーーー!
使用した電気料金の他に調整金額としてこんなにかかるの!!
そ、そうなんですよ〜
さらに、先月お伝えしましたが、
8月からは料金改定(値上げ)も待っています!!
スマートタイムプラン(東京電力管内)は全時間帯3.30円/kWhの値上げです!!
さらに!!
市場連動型料金プランの導入(今冬予定)が控えています!!
市場連動型料金プランの導入
Looopでんき公式サイトの情報では、
現行プランに代えて、時間ごとに単価が変動する市場連動型料金プランを導入いたします。
市場価格が安い時間帯で使用すれば電気料金を削減できる一方、市場価格高騰の影響を直接受ける可能性があります。
とのこと。
これは何も対策しないと大変なことになりそうです!
しかし、電力会社を変えれば済む問題でもなさそうですね…
そもそもの要因は「燃料費高騰」ですので、どの電力会社も状況は似たようなものでしょう…
まとめ
2022年7月は中旬お天気がぐずつき、梅雨逆戻り?という月になりました。
屋外の平均温度は28.5℃、平均相対湿度は72%という、非常に蒸し暑い季節です。
冷房必須な季節となります。
屋内の温度・湿度まとめ
- 平均温度:26.4℃(冬季目標:22℃〜24℃)(夏季目標:25℃〜28℃)
- 平均相対湿度:57.7%(目標:40%〜60%)
- 平均絶対湿度:12.5g/kg(目標:7g/kg〜13g/kg)
過酷な屋外状況に対して、とても過ごしやすい屋内環境を維持できています。
強いて言うなら絶対湿度が高いことですね。
クール暖が苦手とする部分です。
光熱費まとめ
- 予測電力使用量:619kWh
- 予測電気料金:18,000円
- 実際の電力使用量:526kWh(予測比85%)
- 実際の電気料金:17,544円(予測比98%)
エネルギーパス協会の予測に対して下回ることができました。
Looopでんきのピークタイムが適用される季節(7月〜9月)になったため電気料金としては厳しい季節です。
節電・光熱費を抑えるポイントとしては下記です。
- 高温多湿の季節ですが除湿に対する電力消費を抑えられた
✔全熱交換型一種換気で湿度がコントロールしやすいため、除湿機は間欠使用で快適湿度を保てた
✔除湿能力が高く、消費電力の少ない除湿機(エレクトロラックス:UltimateHome 500)をメイン除湿機として使用した
✔お風呂上がりの1時間集中して除湿機を使用(サブ機使用) - エコキュートのわき上げ設定
✔わき上げモード:おまかせ
✔節電モード:レベル2 - 食洗機の使用時間
✔ナイトタイム(22:00〜6:00)に使用する - 洗濯機の使用時間
✔極力ナイトタイム(22:00〜6:00)で洗濯(乾燥)する
冷房(クール暖)の設定温度などの工夫に関しては、そこまで節電に効果が現れなかった。
節電!節電!と我慢することなく、体感を優先して活用するのが良さそうです。
今後の電気代上昇は深刻な問題になり得る!
対策を取らないと、10月以降の伝票を見て、目が飛び出る可能性があります。
これからお家を建てる方は十分に留意して、断熱やソーラー発電を検討するのが吉です。
断熱性能:HEAT20 G3(断熱等級7)の暮らしが少しでも表現できていれば幸いです。
7月は本格的な夏なので冷房なしでは過ごせません。
冷房(クール暖)のお陰で屋内の温度・湿度は一定に保つことができ快適な生活が送れました。
<大切なこと>
「快適」≠「電気をたくさん使用」ということがポイント(少ない電気で一日中快適を目指した家づくり)と考えています。
冷房を連続稼働+オール電化で600kWh(18,000円)に収まりました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございましたm(_ _)m