お家づくりを検討すると換気について悩みますよね。
第一種?第三種?ダクト式?ダクトレス式?安いモノ・高いモノ…
僕は家づくり検討当初は「第一種にしたいな〜」という思いはありましたが、機種等の詳細は工務店選びを進める過程で決まっていきました。
結果的に我が家で採用したのは第一種換気システムの「マーベックス:澄家DC-S」です。
(現行品の澄家VS90相当)
換気の中では高価な設備になりますし、効果やアフターメンテ(フィルターの掃除など)も気になる方が多いかな?と思いますので、詳細をご紹介していきたいと思います。
この記事では、下記のことが分かります。
✔澄家(全熱交換換気システム)の概要
✔効果(夏と冬の屋内環境)
✔メンテナンス作業
✔メリット・デメリット
換気選びを悩まれている方に少しでも参考になれば幸いです。
マーベックス:澄家DC-Sについて
マーベックスさんの澄家DC-Cは優れた熱交換効率を持つ第一種換気システムです。
熱交換について
ここで示される顕熱交換・潜熱交換を分かりやすくすると、
・顕熱交換:温度のみ
・潜熱交換:温度&湿度
潜熱交換を別の表現で全熱交換といいます。
熱交換素子について
熱交換素子の中を空気が通り温度・湿度を交換します。
屋内の熱や湿気を捨てないで回収するということです。
交換の際に温度・湿度以外の微粒子・匂い・ウイルスは不要ですね。
(不要なモノは排気してほしい)
温度・湿度以外を通さないことを「ガスバリア」というようです。
全熱交換の場合、「和紙」で作られたものが多いらしく、和紙の場合は臭いなどが戻ってきてしまうそうです。
(澄家DC-S用素子の材質:ポリプロピレン・紙)
澄家の場合は、ガスバリア性がある熱交換素子を使用しているため、安心して使用できます。
熱交換素子選びの注意点
顕熱交換(温度のみ)の素子の場合、湿度の差が大きい季節では素子に結露が発生するそうです。
そのため、ドレン(水抜き配管)で結露水を排水する必要があります。
うまく排水できないとカビが生える等の危険性がありますのでご注意を!
換気の種類について
澄家は機械換気に分類され、その中でも第一種換気になります。
換気の種類に関しては、三菱電機さんのホームページを参考にしてください。
第一種換気の中でも、空気をダクトを使って運ぶモノを「ダクト式」、ダクトを使わないモノを「ダクトレス式」といいます。
澄家は、「ダクトレス式」です。
正確には給気はダクトレス式で、排気はダクト式です。
給気に関しては、基礎断熱された床下を使って各部屋に新鮮な空気を供給します。
なぜこんなこのような構造に?の答えは、下記のダクト式のデメリットを回避するためです。
澄家に関する詳細は下記メーカーホームページへ
澄家の効果確認
全熱交換型換気システムが力を発揮してくれるのは、夏と冬です。
我が家の実際のデータを見ていきます。
条件の確認
居住地条件など
- 場所:群馬県(6地域)
- 地形:平地
- 最寄りの河川・貯水池等:なし
お家のスペック
- 面積:106m2(32坪)
- 階数:平屋(勾配天井、ロフトあり)
- 断熱性能(UA値):0.23w/m2k(HEAT20 G3・断熱等級7)
- 気密性能(C値):0.13cm2/m2
- 工法/構想:木造軸組工法
- ソーラー発電:なし
- 蓄電池:なし
- 冷暖房:ふく射式冷暖房(クール暖)
夏のデータ
屋内(リビング)と屋外の温熱環境を比較してみます。
2021年8月のデータを用いています。
8月10日入居のため、8月前半のデータはありません…
夏の特徴としては、
- 窓開け換気ゼロ
- 冷房(クール暖)を常時使用
- 除湿機(コンプレッサー式)1台を間欠で使用
- 洗濯は洗濯〜乾燥までを洗濯機で実施
(部屋干しはしない) - お風呂場の換気扇は不使用
使用後はドアを全開にし除湿機+サーキュレーターで乾燥させる
夏の温度比較
8月13日〜17日は暑さが落ち着いていますが、その他は猛烈に暑いです。
屋内の温度に波がありますが、これは冷房の設定トライを行っているためです。
(クール暖の温度コントロールが難しい)
夏の相対湿度[%]比較
8月12日〜17日は天候が悪く、相対湿度は90%超えです。
屋内の目標相対湿度は40%〜60%としていますが、8月19日〜27日は60%上回っています。
空気のジメジメ感は相対湿度[%]よりも絶対湿度[g/kg]でみた方が一目瞭然です。
夏の絶対湿度[g/kg]比較
目標の絶対湿度は7g/kg〜13g/kgです。
こうしてみると、屋外の湿度は強烈ですね。
20g/kgに迫る勢いです…
(1kgあたりの空気に水分が20g含まれている)
このまま屋内と屋外の空気を入れ替えたら…屋内はジトジトです(-_-;)
カビやダニが増殖する危険性が!!
ですが、屋内は8月26日、27日に目標値をオーバーしたものの、それ以外は目標内に収まっています。
夏の効果まとめ
猛烈な暑さと湿気が日本の夏の特徴ですが、屋内はかなり快適な状況を維持できています。
- 澄家(全熱交換型換気システム)のみでは、快適な屋内環境維持は困難
(あくまで換気なので当たり前) - 補助的に冷房・除湿を行うことで快適な居住空間にできる
除湿能力の低いクール暖(一般的なエアコンと比べるどうしても除湿力は低い)と除湿機(間欠運用)で湿度を抑え込めているのは、全熱交換型換気システムの効果が大きいと思います。
2021年8月は入居の月のため、アパート生活からのギャップが凄まじくありました。
(あの帰宅時のモワモワとお別れできてよかった〜と心の底から思います)
感動モノです!!
除湿に関する参考記事はこちら↓
冬のデータ
屋内(リビング)と屋外の温熱環境を比較してみます。
2022年1月のデータを用いています。
冬の特徴としては、
- 暖房(クール暖)を常時使用
- 加湿器(気化式)1台を常時使用
- 洗濯物は部屋干し(2日に1回)
- お風呂場の換気扇は不使用
使用後はドアを全開にしサーキュレーターで乾燥させる
冬の温度比較
寒い日が続いていますが、屋内の温度はほぼ一定です。
まさに快適な温度が維持できています。
冬の相対湿度[%]比較
ほぼ全域で「乾燥注意報」が発令されています。
目標相対湿度は40%〜60%なので、屋外も十分そうに見えます。
これが、相対湿度の分かりにくいところですね。
(気温が低いことで、空気中に蓄えられる水分が少なくなるため)
これを解消するためには、絶対湿度でみてあげる必要があります。
冬の絶対湿度[g/kg]比較
目標の絶対湿度は7g/kg〜13g/kgです。
こうしてみると、屋外の空気がカラカラなのは一目瞭然ですね。
このまま屋外の空気と入れ替えてしまうと…屋内はカラカラです。
しかし、屋内は全域で目標内に収まっています。
冬の効果まとめ
冬はカラカラに乾燥してしまうのが日本の冬の特徴ですが、屋内は快適な状況を維持できています。
- 澄家(全熱交換型換気システム)のみでは、快適な屋内環境維持は困難
(あくまで換気なので当たり前) - 補助的に暖房・加湿を行うことで快適な居住空間にできる
小さな加湿器でお家全体をここまで加湿できているのは、全熱交換型換気システムの効果が大きいと思います。
加湿器に関する参考記事はこちら↓
澄家のメンテナンス
澄家のメンテナンス(定期的な掃除)について、イメージをお伝えします。
メンテナンスする部分(4ヶ所)とピッチは下記です。
- 屋内フィルター(排気口):30日
- 屋外フィルター(給気口):120日
- 熱交換素子:1年
- 屋内給気口(ガラリ):不要?
屋内フィルターの掃除(排気口)
澄家の排気口は床に取り付けられています。
ここから吸い込まれた空気が熱交換素子を通って外に排気されます。
熱交換素子を汚れから守るためにフィルターが必要です。
※屋内フィルター掃除の際は、換気システムの停止は不要です。
屋内フィルターは指で持ち上げると取れます。
大きな力は必要ありません。
ホコリを掃除機で吸引します。
こびり付いているわけではないので、すぐに除去できます。
マニュアルには「汚れがひどい場合は交換してください」と書いてありますが、我が家は1年を目安に交換します。
(アレルゲン排気フィルター:20枚で3,300円)
フィルターの設置場所によって汚れ具合が異なります。
単純ですが、目視可能な場所に設置されているフィルターは汚れています。
(クローゼットに設置されたフィルターはあまり汚れない)
屋外フィルターの掃除(給気口)
吸気口は屋外に設置されています。
外に?と思うかもしれませんが、フィルターが汚れているので外で正解です。
(ホコリや虫が散らばります!!)
※屋外フィルター掃除の際は、換気システムを停止させます。
停止させないとゴミを吸い込んでしまうので注意!
両脇下側にネジが付いているので外してカバーを取り外します。
蝶ボルトのため、工具は不要です。
カバーを外すと防虫ネットが見えます。
「防虫ネット」だけあり、虫を防いでいます!
取り外してフィルターと一緒に洗います。
フィルターは黒ずんでいます。
フィルターは持ち上げると簡単に取れます。
中は真っ黒です…
フィルターの洗浄+乾燥には3〜4時間掛かります。
その間にダクトにホコリや虫が入るのを防止するため、ビニール袋等で蓋をします。
交互に使用するフィルターを持っておけば、作業はスムーズですね。
大きめのビニール袋(45L)にフィルターを入れ、ぬるま湯+中性洗剤でじゃぶじゃぶと洗います。
このとき潰したりするのはNGだそうです。
形が崩れてしまうそうです。
5分程度つけ置きします。
つけ置きしたフィルターをすすぎます。
水分を含んで重くなるので注意が必要です。
写真では分かりにくいですが、結構キレイになりました。
洗浄したフィルターは陰干しで乾かします。
※絞るのはNGです。
乾かしの目安時間は2〜3時間です。
ある程度乾いたら設置可能です。
熱交換素子の掃除
掃除実施後に記載予定です。
屋内給気口
屋内給気口ですが、ほぼ汚れません。
裏返すとこんな感じですが全く汚れは付いていません。
澄家(全熱交換型換気システム)のメリット・デメリット
前提条件
- 澄家DC-S
- 第一種換気
- 全熱交換型換気
- 熱交換素子にガスバリア性あり
- ダクトレス式
メリット
- 夏も冬も湿度をコントロールしやすい
- 温度をコントロールしやすい
- 温度・湿度のコントロールにかかる光熱費が穏やか
- 熱交換素子の結露がないため素子がカビるなどのリスクが低い
- 熱交換素子にガスバリア性があるため匂い戻りの心配がない
- 給気経路の清潔維持が用意(ダクトレス式)
- 花粉症状の緩和(全く症状なしにはならないが、間違いなく穏やかになった)
- ホコリが減少(クール暖との相乗効果)
- 吸気口からの冷気・熱気感なし(アパートの第三種換気は酷かった)
- 強風時に換気口からの音がない「ボーという音」
デメリット
- 初期費用が高い:我が家の場合おおよそ50万円
- フィルターの掃除が面倒(特に屋外フィルター)
- 屋内・屋外フィルター、熱交換素子の交換などランニングコストがかかる
フィルター関係は1回/年、熱交換素子は目詰まりしたら(今後調査) - 洗える熱交換素子ではない
- 床下も屋内並の断熱処置が必要
- 床断熱には使用できない
- 開放型ストーブなどは使用できない(気密の高いお家は基本的に使用不可)
第一種換気システム「マーベックス:澄家」のまとめ
マーベックスさんの「澄家」、如何だったでしょうか?
初期費用とランニングコスト(熱交換素子の交換)がネックですが、それ以外は必須級のアイテムと言っていいのではないでしょうか!
もしもう一度お家を作るとしたら、必ず付けたいと思う一品です!!
澄家DC-Sのまとめ
- 全熱交換型換気は快適な屋内空間を低燃費で維持するために必須
- 温度・湿気をコントロール(夏:侵入防止、冬:捨てない)
- 屋内環境が維持されるため、冷房・暖房・除湿・加湿が補助的でよい
- 空気に清潔感あり(帰宅時に実感)
- 初期投資が高い
- 屋外フィルターの掃除が面倒
- ランニングコスト(熱交換素子の交換必要)
澄家を検討されている方や、第一種換気・全熱交換型換気を検討されている方の参考になったでしょうか?
少しでも参考になって、お家づくりがより良いモノになっていただければ幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございましたm(_ _)m