お家づくりで「断熱性能」をどのくらいにすればいいのか?と悩まれている方が多いのではないでしょうか?
断熱性能を示す基準も複数あり代表的な基準は下記です。
・国土交通省の「断熱等級」
・一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会の「HEAT20」
断熱性能も頭打ちはあり、断熱等級であれば「7」、HEAT20であれば「G3」だと思います。
この記事では、HEAT20 G3(断熱等級7)の暮らしをご紹介していきます。
家づくりの大切な要素の一つである断熱性能について、本記事を参考にしいただき後悔のない家づくりの参考にしていただければ幸いです。
2022年8月の屋外状況
屋外の温度・湿度は屋外に設置した温湿度計(SwithBot)から得たデータを使用しています。
データの取得方法については、下記の記事をご覧ください。
2022年8月の屋外温度@群馬県
群馬県の2022年8月の屋外気温を確認してみます。
平均気温と最高気温/最低気温をグラフ化しました。
グラフ下部の数字は一日の温度差の値です。
- 平均気温:28.7℃
(7月の28.5℃から+0.2℃) - 最高気温:37.3℃
(7月の38.4℃から−1.1℃) - 最低気温:21.6℃
(7月の22.1℃から−0.5℃) - 氷点下日数:0日
(7月も0日です…夏なので) - 夏日(25℃以上):31日
(7月の30日から+1日) - 真夏日(30℃以上):24日
(7月の24日から+0日) - 猛暑日(35℃以上):6日
(7月の4日から+2日)
2022年8月は「暑い!」と感じていましたが、猛暑日は意外と少なく6日間でした。
とはいえ、平均気温は28.7℃と平均化してもこんなに高いの??という数値です💦
それもそのはず、8月は全日夏日(25℃以上)を記録しています。
例年通り暑い群馬県ですが、断熱性能の優れるお家(HEAT20 G3)の中はどのような環境になっているでしょうか?
早速見ていきましょう!
住環境の記録:2022年8月1日〜8月31日
- 面積:106m2(32坪)
- 階数:平屋(勾配天井、ロフトあり)
- 断熱性能(UA値):0.23w/m2k(HEAT20・G3、断熱等級7)
- 気密性能(C値):0.13cm2/m2
- 工法/構想:木造軸組工法
また、断熱性能、気密性能に関するおさらいはこちらの記事を参考にしてください。
温度比較
- リビング(南側一等地)
- ロフト(高所注意!)
- 寝室(北側角部屋)
- 脱衣室(西側)
- 子供部屋(東側)
- 床下(基礎断熱=屋内扱い)
各部屋の平均温度と屋外平均温度を折れ線グラフで表示しています。
また、日照時間を棒グラフで表示しています。
- 8月は全域で冷房(クール暖)を使用しました。
- 屋内平均温度は26.3℃(床下除く)
- 冷房と併用して除湿機も使用(間欠運転)しました。
(クール暖の弱点をカバー) - 1ヶ月を通しての平均温度の最大温度差は3.7℃(床下除く)
・MAX:28.2℃@ロフト
・MIN:24.5℃@リビング - 日照時間が少ない日に屋外・屋内ともに平均温度を押し下げている。
続けて一日の屋内温度差(床下は除く)を見ていきます。
日ごとの平均温度差をグラフ化します。
- 各計測点の平均温度の差は、最大で1.6℃
メイン居住スペースの「リビング(温度低い)」と高所の「ロフト(温度高い)」の差 - 冷房(クール暖)は水温設定による関節的な室温コントロールのため、日照時間などの影響によって波ができてしまう(クール暖の難しいところ)。
- 概ね目標温度域(夏:25℃〜28℃)に収まっている。
湿度比較
湿度に関しては、相対湿度[%]と絶対湿度[g/kg]を確認していきます。
相対湿度[%]
馴染みのある相対湿度[%]で屋外と屋内を比較してみます。
屋内の湿度は各部屋(床下を除く5ヶ所)の平均値です。
日本の夏、THE高湿度です!
屋外の相対湿度は平均70.7%で、瞬間的には100%になることも多々ありました。
気温と相まって「蒸し暑い」です。
そんな屋外ですが、屋内はしっかりと60%以下をキープできています。
屋内相対湿度は平均57.9%(床下除く)
絶対湿度[g/kg]
相対湿度でも蒸し暑さがわかりますが、絶対湿度でも比較してみましょう。
絶対湿度は計算で求めています。
夏は冬と違っで相対湿度と絶対湿度のギャップは少ないですね。
絶対湿度で見てもTHE高湿度です!
屋外の絶対湿度は平均17.4g/kgで、20g/kgに近い値です!
そんな屋外ですが、屋内は13g/kg以下をほぼほぼキープしています。
屋内絶対湿度は平均12.4g/kg(床下除く)
数日わずかに超えてしまっていますが、相対湿度のみ見ているためその当時は気付きませんでした。
やっぱり絶対湿度が計測できる温湿度計を1つ購入しようかな…
我が家の冷房はクール暖という「ふく射式」の冷暖房になります。
メリットも多いのですが、エアコンに比べると除湿が苦手な印象です。
そのため、我が家では除湿機を併用しています。
エアコンをお使いの方も湿度コントロールに苦しんでらっしゃる方が多いのかなと思います。
例えば、除湿の効率を上げると室温が下がりすぎてしまうとか。
そんなときはやはり除湿機をおすすめします。
我が家の湿気を取り除くパワフルかつエコな除湿機
クール暖(&エコヌクール):水温設定
グラフ化して屋外と屋内の温度変化をみてみます。
断熱(HEAT20 G3・断熱等級7)であっても屋外温度と日射による影響を受けます。
特に我が家はリビングの南面窓を多くしたため、庇で日射遮蔽していても影響を受けます。
日射の防御策としては、アウターシェード(いわゆる“すだれ”)による日射遮蔽がより良い選択ですね。
上げ下ろしが面倒と考え我が家では不採用としました。
アウターシェードを採用すると間違いなく冷房の負荷軽減=使用電力削減になりますね。
下記は屋外平均温度とクール暖の水温設定のガイドラインです。
クール暖の夏の温度設定ガイドライン
- 屋外平均温度22℃以下:水温設定20〜25℃
- 屋外平均温度25℃以上:水温設定14〜15℃
- 屋外平均温度30℃以上:水温設定11℃(夜は冷えすぎてしまうので控えめ運転推奨)
光熱費紹介
8月は7月に引き続き冷房を連続稼働させたため電気代が気になるところですね。
(7月1日からはLooopでんきの「ピークタイム(※)」が適用されるので、ぐっと電気代が上がる)
我が家の電力量検針日は21日〆のため、電気料金がわかりにくくなっていますがご了承ください。
※:日中の電気料金が割高になる
条件
- 面積:106m2(32坪)
- 階数:平屋(勾配天井、ロフトあり)
- 断熱性能(UA値):0.23w/m2k
- 気密性能(C値):0.13cm2/m2
- 工法/構想:木造軸組工法
- ソーラー発電:なし
- 蓄電池:なし
- 冷暖房設備
協立エアテック:クール暖(輻射式冷暖房) - 換気設備
マーベックス:澄家(全熱交換型第一種換気) - 給湯設備
三菱:エコキュート(Sシリーズ460L) - 調理器具(IH)
三菱:ユーロスタイルIH(グリルなし) - 食洗機
BOSCH:60cmビルトイン食洗機(SMV46TX016) - 洗濯機
SHARP:ドラム式洗濯乾燥機(ES-W113) - 除湿機(梅雨、夏時期のみ使用)
三菱:衣類乾燥除湿機(MJ-M120PX)
エレクトロラックス:除湿機(UltimateHome 500)
- 居住者:夫婦
- お休み:基本的には土日祝日休み
- 屋内の服装
夏:半袖半ズボン
冬:長袖長ズボン(薄手) - 室温
夏:25℃〜28℃
冬:22℃〜24℃ - 湿度
相対湿度:40%〜60%
絶対湿度:7g/kg〜13g/kg - 食洗機:1日に1回が基本
- 洗濯:2日に1回が基本
夏:洗濯機の乾燥機能を使用
冬:部屋干し・・・節電+加湿 - お風呂:基本的にはシャワー
(快適な家になってからお風呂を欲しなくなった)
電力使用予測(エネルギーパス協会の事前予測)
消費量予測 | 光熱費予測 | 電力単価 (1kWhあたり) |
---|---|---|
619kWh | 18,000円 | 29.1円 |
電力使用量
2022年8月(2022/7/22〜2022/8/21)の使用量は…
(電力会社:Looopでんき…スマートタイムプラン)
使用量 (予測との比) 【先月比】 | 請求金額 (予測との比) 【先月比】 | 1kWhあたり (予測との比) 【先月比】 |
---|---|---|
590kWh (95%) 【112%】 | 21,219円 (118%) 【121%】 | 36.0円 (124%) 【108%】 |
内訳
項目 | 単価 [円] (前月比) | 使用量 [kWh] (前月比) | 金額 [円] (前月比) |
---|---|---|---|
スマートタイム (3月〜6月) | 17.50 (−) | 0 (−) | 0.00 (−%) |
ピークタイム (7月〜9月、12月〜2月) | 37.50 (−) | 142 (171%) | 5,325.00 (171%) |
リビングタイム | 27.50 (−) | 238 (111%) | 6,545.00 (111%) |
ナイトタイム | 20.50 (−) | 210 (116%) | 4,305.00 (116%) |
燃料費等調整額 | 5.10 (123%) | 590 (112%) | 3,009.00 (138%) |
再生可能エネルギー発電進捗賦課金 | 3.45 (100%) | 590 (112%) | 2,035.50 (112%) |
電気使用量は予測を下回りましたが、光熱費としては超えてしまいました。
・予測使用量:619kWhに対して、実際:590kWhで-29kWh(95%)です。
・予測電気料金:18,000円に対して、実際:21,219円で+3,219円(118%)です。
予測電気料金には消費税・燃料費等調整額・再エネ・基本料金が含まれないので当然ですね。
使用量は予測と同じくらいね。
電気料金は20,000円を超えると使い過ぎかな〜と感じてしまうわね。
暑い夏を常時快適に過ごすための適正な電気使用量なので、使い過ぎてるわけではないよ。
でも、20,000円を超えると動揺は隠せませんね💦
ねーね、2022年1月と8月の金額を比べると同じくらいなのに、使用量が全然違うのはなぜ??
1月のが電気を沢山使ってるのに金額は同じくらい…
よくお気づきになりました!
1月:735kWh
8月:590kWh
こちらのグラフをご覧ください。
これは、1月と8月の料金内訳を比較したものです。
8月は1月に比べて、
・ピークタイム(高い時間帯)が増加
・ナイトタイム(安い時間帯)は減少
・燃料費等調整額が増加
しました。
つまり、
夏は電気単価の高い日中に多く電気を使う(冷房)
冬は電気単価の安い夜に多く電気を使う(暖房・エコキュート・食洗機)
極めつけは、燃料費等調整額が爆上がり!
今年の冬は嫌な予感…
使用量の考察
屋外気温と電気使用量の関係を比較します。
気温との関係性を確認すると一目瞭然ですが、気温に連動して電気使用量が変更しています。
暑い=電気使用量が増える
これは、避けては通れない事実です。
断熱性能を高めることで、常時冷房でも一日平均19kWhですんでいる
ざっくりですが、冷房(クール暖)と除湿機(エレクトロラックス:UltimateHome 500)がどれくらい電力を消費しているのか計算してみます。
・最大消費日(8月9日):21.4kWh
・最小消費日(8月20日):15.3kWh
全体的に比べても食洗機や洗濯機の使用状況が異なるので、ピーク温度時間帯の15時で比較してみます。
・最大消費日(8月9日)の15時:0.8kWh
・最小消費日(8月20日)の15時:0.6kWh
無冷暖房シーズンの最低電気使用量を知ることで、我が家の最低消費電力を把握します。
これは、換気や冷蔵庫です。
5月のデータを確認すると「0.1kWh〜0.2kWh」であることがわかりました。
冷蔵庫も室温が上がって消費電力が増えていることを想定して、ここでは「0.2kWh」としておきましょう。
STEP1で確認した8月1時間当たりの消費電力からSTEP2で求めたお家の最低消費量を差し引き、冷房・除湿機が1時間に消費する電力を求める。
・最大消費日(8月9日)の15時:0.8kWh – 0.2kWh = 0.6kWh
・最小消費日(8月20日)の15時:0.6kWh – 0.2kWh = 0.4kWh
STEP3で求めた冷房・除湿機の消費電力をWに変換しておきます。
・最大消費日(8月9日)の15時:0.6kWh × 1000 = 600W
・最小消費日(8月20日)の15時:0.4kWh × 1000 = 400W
除湿機(エレクトロラックス:UltimateHome 500)は160Wであることが分かっていますので、差し引きます。
・最大消費日(8月9日)の15時:600W – 160W = 440W
・最小消費日(8月20日)の15時:400W – 160W = 240W
冷房(クール暖)の消費電力は240Wに〜440Wと思われます。
クール暖のヒートポンプユニット(三菱電機:エコヌクール)のカタログスペックでは冷房消費電力が1200Wですので、20%〜37%で稼働している感じですね。
(エコヌクールの冷房能力は3.6kWなので、0.72kW〜1.3kWで運用しているということ)
無冷暖房シーズンと冷房シーズンにSTEP5の結果を当てはめて、大外ししてないかを確認してみます。
無冷暖房シーズン(5月)の1日平均使用電力:8kWh
冷房シーズン(8月)の1日平均使用電力:19kWh
差としては、11kWhです。
STEP5で算出した冷房消費電力を1日使用すると、
・最大消費日(8月9日):440W / 1000 × 24h = 10.56kWh
・最小消費日(8月20日):240W / 1000 × 24h = 5.76kWh
どちらも日中の暑い時間帯の消費電力で稼働し続けたらという算出なので、多めの値だと思います。
これに除湿機の間欠使用が加わりますので、遠からずの結果ではないでしょうか。
我が家の冷房(クール暖)の消費電力は、ピーク時で240W〜440Wのようですね。
気温によって冷房としては消費電力が下がりますが、冷房での除湿能力が下がるため除湿機の稼働率が上がります。
冷房+除湿機で400W付近ではないかと思われます。
- 無冷暖房シーズン(5月)に比べ、一日平均11kWhの使用量増加
- 主な増加要因は冷房(クール暖)と除湿機
- 冷房と除湿機の消費電力は400W付近と推測
- 冷房能力(MAX3.6kW)に対して、0.72kW〜1.3kW(20%〜37%)で稼働していると推測
年間累計
エネパス予測と実績使用量の累計グラフです。
使用量としてはエネパス予測を下回ったため、年間累積としても予測を下回りました。
Looopでんきは8月から料金改定(値上げ)がありますが、我が家の場合は検針日の関係で9月の請求分から影響を受けてきます。
使用量は秋にかけて減少していきますが、電気料金値上げの影響が心配なところです。
また、後述の「燃料費等調整額」がもっと心配です!!
調整額の推移
気になる電力調達額の推移です。
年始に比べるとすごく高いですが、まだ平和な値です。
10月請求分から適用される改定が恐ろしいです。。。
詳細は下記7月の記事をご覧ください。
まとめ
2022年8月は夏日(25℃以上)31日とすべての日が夏日でした。
そのうち6日間が猛暑日(35℃以上)でした。
屋外の平均温度は28.7℃、平均相対湿度は70.7%という、非常に蒸し暑い季節です。
冷房必須な季節となります。
- 平均温度:26.3℃(冬季目標:22℃〜24℃)(夏季目標:25℃〜28℃)
- 平均相対湿度:57.9%(目標:40%〜60%)
- 平均絶対湿度:12.4g/kg(目標:7g/kg〜13g/kg)
屋外の高温多湿とは別世界の空気感です。
温度・湿度がコントロールされていると本当に過ごしやすいです。
- 予測電力使用量:619kWh
- 予測電気料金:18,000円
- 実際の電力使用量:590kWh(予測比95%)
- 実際の電気料金:21,219円(予測比118%)
使用量はエネルギーパス協会の予測に対して下回ることができました。
Looopでんきのピークタイムが適用される季節(7月〜9月)になったため電気料金としては厳しい季節です。
節電・光熱費を抑えるポイントとしては下記です(7月に対して不変)。
- 高温多湿の季節ですが除湿に対する電力消費を抑えられた
✔全熱交換型一種換気で湿度がコントロールしやすいため、除湿機は間欠使用で快適湿度を保てた
✔除湿能力が高く、消費電力の少ない除湿機(エレクトロラックス:UltimateHome 500)をメイン除湿機として使用した
✔お風呂上がりの1時間集中して除湿機を使用(サブ機使用) - エコキュートのわき上げ設定
✔わき上げモード:おまかせ
✔節電モード:レベル2 - 食洗機の使用時間
✔ナイトタイム(22:00〜6:00)に使用する - 洗濯機の使用時間
✔極力ナイトタイム(22:00〜6:00)で洗濯(乾燥)する
断熱性能:HEAT20 G3(断熱等級7)の暮らしが少しでも表現できていれば幸いです。
8月は夏真っ盛りなので冷房なしでは過ごせません。
冷房(クール暖)のお陰で屋内の温度・湿度は一定に保つことができ快適な生活が送れました。
<大切なこと>
「快適」≠「電気をたくさん使用」ということがポイント(少ない電気で一日中快適を目指した家づくり)と考えています。
冷房を連続稼働+オール電化で600kWhに収まりました。
電気代高騰で2万円を超えてしまったことは致し方ありませんね…
最後まで読んでいただき、ありがとうございましたm(_ _)m