お家づくりで「断熱性能」をどのくらいにすればいいのか?と悩まれている方が多いのではないでしょうか?
断熱性能を示す基準も複数あり代表的な基準は下記です。
・国土交通省の「断熱等級」
・一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会の「HEAT20」
断熱性能も頭打ちはあり、断熱等級であれば「7」、HEAT20であれば「G3」だと思います。
この記事では、高気密高断熱(HEAT20:G3、断熱等級:7等級)の暮らしをご紹介していきます。
家づくりの大切な要素の一つである断熱性能について、本記事を参考にしいただき後悔のない家づくりの参考にしていただければ幸いです。
結論:残暑の季節でも快適且つエコな暮らし(屋内平均温度は26.1℃、使用電気量は569kWh)
高気密高断熱(C値0.13cm2/m2、UA値0.23w/m2k)の暮らし紹介
- 9月の屋外/屋内の温湿度状況
- 9月の光熱費(Looopでんき:スマートタイムプラン)
- 9月の光熱費(Looopでんき:スマートタイムONE適用されたら)
2022年9月の屋外状況
屋外の温度・湿度は屋外に設置した温湿度計(SwithBot)から得たデータを使用しています。
データの取得方法については、下記の記事をご覧ください。
2022年9月の屋外温度@群馬県
群馬県の2022年9月の屋外気温を確認してみます。
平均気温と最高気温/最低気温をグラフ化しました。
グラフ下部の数字は一日の温度差の値です。
- 平均気温:24.9℃
(8月の28.7℃から−3.8℃) - 最高気温:32.2℃
(8月の37.3℃から−5.1℃) - 最低気温:18.3℃
(8月の21.6℃から−3.3℃) - 氷点下日数:0日
(8月も0日です…夏なので) - 夏日(25℃以上):27日
(8月の31日から−4日) - 真夏日(30℃以上):7日
(8月の24日から−17日) - 猛暑日(35℃以上):0日
(8月の6日から−6日)
2022年9月は暑さは一段落し、猛暑日は0日でした。
平均気温も24.9℃で、25℃を下回りました。
ただ、真夏日(30℃以上)は7日間あり、9月を通して「残暑」といった感じです。
住環境の記録:2022年9月1日〜9月30日
- 面積:106m2(32坪)
- 階数:平屋(勾配天井、ロフトあり)
- 断熱性能(UA値):0.23w/m2k(HEAT20・G3、断熱等級7)
- 気密性能(C値):0.13cm2/m2
- 工法/構想:木造軸組工法
また、断熱性能、気密性能に関するおさらいはこちらの記事を参考にしてください。
温度比較
- リビング(南側一等地)
- ロフト(高所注意!)
- 寝室(北側角部屋)
- 脱衣室(西側)
- 子供部屋(東側)
- 床下(基礎断熱=屋内扱い)
各部屋の平均温度と屋外平均温度を折れ線グラフで表示しています。
また、日照時間を棒グラフで表示しています。
- 冷房(クール暖)は基本的に稼働ですが、一部の夜や20日〜23日は停止しました。
- 屋内平均温度は26.1℃(床下除く)
- 冷房と併用して除湿機も使用(間欠運転)しました。
(クール暖の弱点をカバー) - 1ヶ月を通しての平均温度の最大温度差は2.6℃(床下除く)
・MAX:27.3℃@ロフト
・MIN:24.7℃@リビング - 日照時間が少ない日に屋外・屋内ともに平均温度を押し下げている。
続けて一日の屋内温度差(床下は除く)を見ていきます。
日ごとの平均温度差をグラフ化します。
- 各計測点の平均温度の差は、最大で1.1℃
メイン居住スペースの「リビング(温度低い)」と高所の「ロフト(温度高い)」の差 - 冷房(クール暖)は水温設定による関節的な室温コントロールのため、日照時間などの影響によって波ができてしまう(クール暖の難しいところ)。
- 概ね目標温度域(夏:25℃〜28℃)に収まっている。
湿度比較
湿度に関しては、相対湿度[%]と絶対湿度[g/kg]を確認していきます。
相対湿度[%]
馴染みのある相対湿度[%]で屋外と屋内を比較してみます。
屋内の湿度は各部屋(床下を除く5ヶ所)の平均値です。
9月ですが高湿度が継続中です!
屋外の相対湿度は平均76.9%でとても蒸し暑いです。
そんな屋外ですが、屋内はしっかりと60%以下をキープできています。
屋内相対湿度は平均58.2%(床下除く)
絶対湿度[g/kg]
相対湿度でも蒸し暑さがわかりますが、絶対湿度でも比較してみましょう。
絶対湿度は計算で求めています。
絶対湿度で見てもTHE高湿度です!
屋外の絶対湿度は平均15.3g/kgです。
9月の後半はカラッと気持ちよく晴れました。
そんな屋外ですが、屋内は13g/kg以下をキープしています。
屋内絶対湿度は平均12.3g/kg(床下除く)
我が家の冷房はクール暖という「ふく射式」の冷暖房になります。
メリットも多いのですが、エアコンに比べると除湿が苦手な印象です。
そのため、我が家では除湿機を併用しています。
エアコンをお使いの方も湿度コントロールに苦しんでらっしゃる方が多いのかなと思います。
例えば、除湿の効率を上げると室温が下がりすぎてしまうとか。
そんなときはやはり除湿機をおすすめします。
我が家の湿気を取り除くパワフルかつエコな除湿機
クール暖(&エコヌクール):水温設定
グラフ化して屋外と屋内の温度変化をみてみます。
断熱(HEAT20 G3・断熱等級7)であっても屋外温度と日射による影響を受けます。
特に我が家はリビングの南面窓を多くしたため、庇で日射遮蔽していても影響を受けます。
日射の防御策としては、アウターシェード(いわゆる“すだれ”)による日射遮蔽がより良い選択ですね。
上げ下ろしが面倒と考え我が家では不採用としました。
アウターシェードを採用すると間違いなく冷房の負荷軽減=使用電力削減になりますね。
やはり「庇の3月問題・9月問題」は深刻です…
我が家も主要な窓にアウターシェードを付けるため、工務店さんにお見積りをお願いしました。
今年は間に合いませんが、来年の中間期はより良い屋内環境になるかな?
下記は屋外平均温度とクール暖の水温設定のガイドラインです。
クール暖の夏の温度設定ガイドライン
- 屋外平均温度22℃以下:水温設定20〜25℃
- 屋外平均温度25℃以上:水温設定14〜15℃
- 屋外平均温度30℃以上:水温設定11℃(夜は冷えすぎてしまうので控えめ運転推奨)
光熱費紹介
9月は冷房を連続稼働させたため電気代が気になるところですね。
また、7月1日〜9月30日はLooopでんきの「ピークタイム(※)」が適用されるので、ぐっと電気代が上がる時期になります。
我が家の電力量検針日は21日〆のため、電気料金がわかりにくくなっていますがご了承ください。
※:日中の電気料金が割高になる
条件
- 面積:106m2(32坪)
- 階数:平屋(勾配天井、ロフトあり)
- 断熱性能(UA値):0.23w/m2k
- 気密性能(C値):0.13cm2/m2
- 工法/構想:木造軸組工法
- ソーラー発電:なし
- 蓄電池:なし
- 冷暖房設備
協立エアテック:クール暖(輻射式冷暖房) - 換気設備
マーベックス:澄家(全熱交換型第一種換気) - 給湯設備
三菱:エコキュート(Sシリーズ460L) - 調理器具(IH)
三菱:ユーロスタイルIH(グリルなし) - 食洗機
BOSCH:60cmビルトイン食洗機(SMV46TX016) - 洗濯機
SHARP:ドラム式洗濯乾燥機(ES-W113) - 除湿機(梅雨、夏時期のみ使用)
三菱:衣類乾燥除湿機(MJ-M120PX)
エレクトロラックス:除湿機(UltimateHome 500)
2022年9月6日に第一子が誕生しました。
生活スタイルは先月から大きく変わりました。
- 居住者:夫婦+子供1
- お休み:
基本的には土日祝日休み→ 毎日在宅(出産+育児期間) - 屋内の服装
夏:半袖半ズボン
冬:長袖長ズボン(薄手) - 室温
夏:25℃〜28℃
冬:22℃〜24℃ - 湿度
相対湿度:40%〜60%
絶対湿度:7g/kg〜13g/kg - 食洗機:1日に1回が基本
- 洗濯:
2日に1回が基本→ 1日に1回が基本
夏:洗濯機の乾燥機能を使用
冬:部屋干し・・・節電+加湿 - お風呂:基本的にはシャワー
(快適な家になってからお風呂を欲しなくなった)
電力使用予測(エネルギーパス協会の事前予測)
消費量予測 | 光熱費予測 | 電力単価 (1kWhあたり) |
---|---|---|
584kWh | 17,000円 | 29.1円 |
電力使用量
2022年9月(2022/8/22〜2022/9/21)の使用量は…
(電力会社:Looopでんき…スマートタイムプラン)
使用量 (予測との比) 【先月比】 | 請求金額 (予測との比) 【先月比】 | 1kWhあたり (予測との比) 【先月比】 |
---|---|---|
569kWh (97%) 【96%】 | 23,118円 (136%) 【109%】 | 40.6円 (140%) 【113%】 |
請求金額を使用量で割った1kWhの単価が40.6円です!
昨年の単価は1kWhあたり30.8円でしたので、約3割の値上がりです。
内訳
項目 | 単価 [円] (前月比) | 使用量 [kWh] (前月比) | 金額 [円] (前月比) |
---|---|---|---|
スマートタイム (3月〜6月) | 17.5→20.8 (119%) | 0 (−) | 0.00 (−%) |
ピークタイム (7月〜9月、12月〜2月) | 37.5→40.8 (109%) | 143 (101%) | 5,834.4 (110%) |
リビングタイム | 27.5→30.8 (112%) | 238 (111%) | 6,529.6 (100%) |
ナイトタイム | 20.5→23.8 (116%) | 210 (116%) | 5,093.2 (118%) |
燃料費等調整額 | 5.1→6.5 (127%) | 569 (96%) | 3,698.5 (123%) |
再生可能エネルギー発電進捗賦課金 | 3.45 (100%) | 569 (96%) | 1963.0 (96%) |
電気使用量は予測を下回りましたが、光熱費としては超えてしまいました。
・予測使用量:584kWhに対して、実際:569kWhで-15kWh(97%)です。
・予測電気料金:17,000円に対して、実際:23,118円で+6,118円(136%)です。
予測電気料金には消費税・燃料費等調整額・再エネ・基本料金が含まれないので当然ですね。
先月よりも使用量は減っているのに電気代は上がっている!
そうなんです…
9月分から電気代が大きく値上げなんです…
内訳表の赤字部分が今月からの値上げ分です!
- 値上げ前の請求額:20,444円
- 値上げ後の請求額:23,118円
値上がり項目 | 値上がり前 | 値上がり後 | 差額(率) |
---|---|---|---|
ピークタイム | 5,362.5円 | 5,834.4円 | +471.9円(109%) |
リビングタイム | 5,830.0円 | 6,529.6円 | +699.6円(112%) |
ナイトタイム | 4,387.0円 | 5,093.2円 | +706.2円(116%) |
燃料費等調整額 | 2,901.9円 | 3,698.5円 | +796.6円(127%) |
合計 | 18,481.4円 | 21,155.7円 | +2,674.3円(114%) |
電気代は毎月の固定費みたいなモノだからね。
値上げは厳しいわね。
そうだよね。
Looopでんきの詳しい値上げ情報は下記の記事をご覧ください。
更に12月からは市場価格に連動する「スマートタイムONE」に強制移行されますので、Looopでんきとご契約されている方はご注意ください。
我が家の資料電力量で計算しましたが、かなりの値上げになります。
年間累計
エネパス予測と実績使用量の累計グラフです。
使用量としてはエネパス予測を下回ったため、年間累積としても予測を下回りました。
Looopでんきは8月から料金改定(値上げ)がありますが、我が家の場合は検針日の関係で9月の請求分から影響を受けてきます。
使用量は予測よりも低ですが、光熱費は予測値を上回ってしまいました。
電気料金の値上げはまだまだ止まりません!
後述しますが「燃料費等調整額」の高騰後に待っているのが、新プラン「スマートタイムONE」です。
燃料費等調整額の推移
9月1日より上限が撤廃された燃料費等調整額ですが、毎月スゴイ勢いで上昇しています。
2022年10月8日現在で12月分まで発表されています。
2022年のピークは11月の20.18円/kWhです。
使用電力500kWhの場合、燃料費等調整のみで「10,090円」になる計算です。
おぉぉー!恐ろしや恐ろしや…
新料金プラン「スマートタイムONE」を適用した場合の請求金額
新料金プラン「スマートタイムONE」についての詳細は下記の記事をご覧ください。
ここでは、スマートタイムONEを適用した際の9月電気料金を計算してみます。
JEPX電源単価+固定従量料金
JEPX電源単価(エリアプラス東京)に固定従量料金(15.11円/kWh)を加えたグラフです。
参考に既存プラン「スマートタイムプラン+燃料費等調整額(6.5円/kWh)」も記載します。
オレンジのスマートタイムONEのグラフの方が上振れているように思われます。
分かりやすくするために、一日を平均化してみます。
- スマートタイムONE:41.9円/kWh
- スマートタイムプラン:37.7円/kWh
2022年9月で見るとスマートタイムONEがやや高いといった感じです。
スマートタイムONEの請求金額予測
スマートタイムONE(JEPX電源単価+固定従量料金)の電気料金を算出すると下記のようになります。
算出は9月1日〜9月30日の間で行いました(前述の今月のリアル電気料金とは期間が異なります)。
スマートタイムONE (従量料金+電源料金) | スマートタイムプラン (燃料費等調整額込み) | |
---|---|---|
電力量料金 | 23,883円 | 19,871円 |
再エネ賦課金 | 1,847円 | 1,847円 |
請求金額 | 25,730円 | 21,718円 |
2022年9月にスマートタイムONEが適用になると25,730円となり、既存のスマートタイムプランの21,718円に対して+4,012円です。
まとめ
2022年9月は残暑で夏日(25℃以上)が27日もありました。
屋外の平均温度は24.9℃、平均相対湿度は76.9%という、まだまだ蒸し暑い季節です。
また、中間期にのため、「庇」による日射遮蔽が甘くなる季節でもあります。
高断熱住宅において、真夏よりも屋内温度をコントロールするのが難しい季節になります。
- 平均温度:26.1℃(冬季目標:22℃〜24℃)(夏季目標:25℃〜28℃)
- 平均相対湿度:58.2%(目標:40%〜60%)
- 平均絶対湿度:12.3g/kg(目標:7g/kg〜13g/kg)
屋外の高温多湿とは別世界の空気感です。
温度・湿度がコントロールされていると本当に過ごしやすいです。
- 予測電力使用量:584kWh
- 予測電気料金:17,000円
- 実際の電力使用量:569kWh(予測比97%)
- 実際の電気料金:23,118円(予測比136%)
※9月から家族が増えました!在宅時間は大幅に増加!洗濯等の回数も増加しています。
※9月から電気料金が大幅値上げとなりました!
使用量はエネルギーパス協会の予測に対して下回ることができました。
Looopでんきのピークタイムが適用される季節(7月〜9月)になったため電気料金としては厳しい季節です。
節電・光熱費を抑えるポイントとしては下記です(8月に対して不変)。
- 高温多湿の季節ですが除湿に対する電力消費を抑えられた
✔全熱交換型一種換気で湿度がコントロールしやすいため、除湿機は間欠使用で快適湿度を保てた
✔除湿能力が高く、消費電力の少ない除湿機(エレクトロラックス:UltimateHome 500)をメイン除湿機として使用した
✔お風呂上がりの1時間集中して除湿機を使用(サブ機使用) - エコキュートのわき上げ設定
✔わき上げモード:おまかせ
✔節電モード:レベル2 - 食洗機の使用時間
✔ナイトタイム(22:00〜6:00)に使用する - 洗濯機の使用時間
✔極力ナイトタイム(22:00〜6:00)で洗濯(乾燥)する
高気密高断熱の暮らしが少しでも表現できていれば幸いです。
高断熱でも9月は残暑で冷房なしでは過ごせません。
特に9月は庇による日射遮蔽が効かなくなる季節のため屋内温度は高めです。
→冷房(クール暖)のお陰で屋内の温度・湿度は一定に保つことができ快適な生活が送れました。
<大切なこと>
「快適」≠「電気をたくさん使用」ということがポイント(少ない電気で一日中快適を目指した家づくり)と考えています。
冷房を連続稼働+オール電化で600kWhに収まりました。
電気代高騰で2万円を超えてしまったことは致し方ありませんね…
最後まで読んでいただき、ありがとうございましたm(_ _)m